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東京情報大学
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音、振動を使って感じる世界を拡大する感性情報学
#情報メディア学系 #映像制作・編集・音響

平安時代の音を
現代に響かせることもできる

「音は時代や場所が変わっても同じでしょうか?」と話すのは石原学先生。
音・音響は物理特性で表現されており、この表現については時代や場所が変わっても同じと考えて良い、と石原先生は言う。
「聴き取る側の人間は、主として聴覚を利用して聞いていますが、人が聞き取れる範囲の周波数や聞こえ具合は、人それぞれで異なります。生活に困らない範囲で平均的な物理量を我々は共通認識としています。その結果として、生活に不便なく過ごせるようになっているのです」
しかし、この物理特性と人の聞こえ具合の聴覚特性は異なった表現をしている。
「人間が介在することで、個人の特性やそのときの環境も含まれるようになってきました。現代は、人間が聞こえている音を再現しようとし、その基準を考えてきています。人間が介在することから、感性情報と呼ばれることもあります。文字で表現される言葉でも、怒っているのか、訊ねているのか、お願いしているのか、判断に難しいことがあります。音声(ことば)になってはじめて、そのニュアンスを伝えることができるのです」
例えば、正倉院宝物の「螺鈿紫壇五弦琵琶」は、世界に一つしかない宝物だ。それを平成時代に大変な時間と労力をかけて、実際に演奏可能にし、再現模造した楽器がある。
「みなさんも音を聞いたことがあるかもしれません。重さも体験できる展示が2024年には行われました。模造といっても忠実に作成されたものですので、音響特性などは測定し再現できるようになります。これをさらに発展させ、当時の演奏環境を考えてみましょう。今のような、コンサートホールはありません。平安時代のたぶん寝殿造りの様な環境で演奏されたのではないでしょうか。これらの環境を再現して当時の音を聴くことでも新しい発見があるかもしれません。現在はドラマなどで平安時代を再現していますが、このような要素を加えることで、当時はどんな音だったのかを体験することができるのです」

動物だけに聞こえる音や
ネット空間の音も研究範囲

また音を感覚としてとらえるときは、耳で聞こえる範囲以外に振動としてとらえている。この振動が人の触覚や力覚として重要な役割を示していると石原先生は話す。
「『ざらつき感』など、一般に粗さと呼ばれるものの感覚の判断です。それらを付加することで、柱の感触や床の感触、さらには着物の肌触りなども再現ができます」
また、時として、聞こえないほどの低い周波数や高い周波数の音は、人間に有害なものにもなるが、動植物たちにとっては有益な情報になっている。
「有名なのがこうもりです。こうもりは、人間の聞こえない高い周波数を超音波として使っていますし、くじらは低周波という人間の聞こえない低い周波数を使っています」
さらには、インターネット空間での「音」も石原先生の研究範囲となる。
「音楽教室で楽器を練習している環境を、インターネット空間で造り、ドラムの練習をしたとします。ドラムをたたいた時のスティックの反力と音がどのくらいズレたら、人間は分かるのでしょうか。音の遅延がどの程度なら現実世界と同じように感じるのでしょうか。インターネット空間は常に揺らぎと遅延がおきています。音は我々にいろいろな情報を与えてくれます。同程度の特性にすることができれば、現実世界とバーチャルリアリティーの世界は、同じ感覚として体験できるかもしれません。これらを、広く知ることで、音環境を設計したり測定したりと、音響メディアデザインは幅の広い活躍の場があるのです」

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