最近、人工知能(AI)という言葉をいたるところで耳にするようになった。『大辞林』によると、人工知能(AI)とは「学習・推論・判断といった人間の知能のもつ機能を備えたコンピューターシステム」と定義されている。
自動運転、自律ロボット、囲碁・将棋をするコンピュータ、株の自動売買、スマートスピーカーによる家電の制御、対話型チャットボットなど、これらはすべて、人工知能技術によって実現したものだ。
人工知能の研究は1950年代から始まり、推論と探索に代表される第1次AIブーム、エキスパートシステム(専門家システム)に代表される第2次AIブームを経て、現在は第3次人工知能ブームを迎えている。
AI・システムデザイン研究室の永井保夫先生は、今のブームを次のように説明する。
「第3次AIブームでは、AI自身が自ら学習する“機械学習”が発展して加速しています。これまでは、人間が学習させた基準に基づいて認識や判断をしていました。しかし現在のAIは、インターネット上のビッグデータなどの大量のデータを自分で学習し、オリジナルの基準を作ってあらゆる状況下で認識・判断することができるようになったのです。」
また、データから自動で特徴を抽出し学習を行うディープラーニング(深層学習)が画像認識や音声認識、異常検知など幅広い分野で活用されることで、AIの実用化が加速している。
「AIはアメリカのクイズ王に勝利し、囲碁チャンピオンを打ち負かし、1秒間に何万件という株の売買を行うようになりました。最近話題になっている自動車の自動運転については、メーカー各社が開発に取り組んでおり実用化も間近です。自動運転が普及すれば、渋滞や事故はなくなり快適な車社会が訪れるかもしれません。2029年にはAIが人間の知能に追いつき、2045年には人間を追い越すとも言われています」と永井先生は話す。
さまざまなことに取り組む永井ゼミだが、主に機械学習とソフトウェア工学の基礎を学び、課題解決を通じて機械学習技術を適用したシステムの開発に関する研究を行っている。機械学習の基礎を学ぶのはもちろん、あわせて必要となるソフトウェア工学の知識やプログラミング言語も習得する。また、探索や推論のアルゴリズムや手法を適用した研究や、情報教育の研究としてJava言語を中心としたプログラミング学習支援システムの開発を行うなど研究内容も幅広い。
AIと共存した明るい未来の実現のために今日も永井先生の研究は続く。