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東京情報大学
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ゴミを資源に変えるカギとなる「AI」

SDGsの課題解決に期待されるAI

現在、世界中でSDGs(持続可能な開発目標)が重視され、産業分野でも環境問題をはじめ、SDGsへのさまざまな取り組みが進められている。特に、地球温暖化の要因となっている二酸化炭素など温室効果ガスの問題は、その解決が急務だ。マッキン・ケネスジェームス教授は、この対策に人工知能(AI)を用い、従来の手法よりさらに環境に優しい制御を実現させるべく、企業とともに研究を行っている。

AIでごみ焼却発電の
効率を向上させる

 「近年、温室効果ガスを増やさずにエネルギーを作る再生可能エネルギーが注目されています。ごみを焼却した熱で発電する『ごみ焼却発電』は、もともと大気中から二酸化炭素を吸収した木や食物のごみを燃やすので、二酸化炭素の総量が変化しないカーボンニュートラルな再生可能エネルギー発電です。そこで、ごみ焼却発電の世界トップ企業である日立造船とともに、温室効果ガスの発生を押さえ、発電効率を高める、人工知能を用いた最新の制御の研究を進めています。」
 ごみ焼却発電の制御が難しい点は、燃料となるごみ質が均一でないため、燃焼が不安定になることだ。燃焼が安定しないと、エネルギー回収率が悪くなり、発電量にも影響を及ぼす。燃焼を安定化するには、2つの条件が必要だ。1つはごみ質を安定させること、もう1つは変化する燃焼状態に合わせて燃焼を制御することだ。
 「ごみ質を安定させるには、焼却炉でごみを焼却する前に、ごみをよく混ぜて(撹拌して)から焼却炉に投入することが重要です。従来はごみ焼却炉運転員の長い経験と高い技術で対応していたのですが、AIが代わりとなって、もっと効率よく行うことを目指しています。」
 さらに、焼却炉の燃焼の制御もAIが補助するという。具体的には、焼却炉の燃焼状態を写したカメラ画像やさまざまなセンサー情報をAIで分析・判定し、現在の状態から今後の燃焼状態の変化を予測し、ごみ送りのスピードや酸素供給量などの調整を行うことで、燃焼を安定させ、発電効率を高め、温室効果ガスの発生を抑えるという。

柔軟な思考をもった
コンピュータはあいまいさがカギ

 ほかにも、ドローンによるソーラーパネル故障検知(ニチゾウテック)、泌尿器癌の再発予測(北里大学病院)など多彩な共同研究を行ってきたマッキン先生。それらの研究の特徴は、AIの分野である「ソフトコンピューティング」を用いている点だ。
 ソフトコンピューティングは人に近い柔軟な問題解決能力をもった「やわらかいコンピュータ」技術である。これまでのコンピュータは答えの「正確性」を目指してきたが、ソフトコンピューティングでは、正解の無いあるいは正解の分からない複雑な問題を、もっと柔軟に解決することを目指している。
 産業分野において、従来の制御手法では十分な精度が得られない、あるいは自動化が難しいといったさまざまな問題が山積みだ。こうした問題にAIを適用し、よりよい制御への改善や自動化を行うのがAIの産業応用研究であり、今後、さらに期待される研究だ。

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